4月1日

そういえば今年は満開の桜をまともに見ていない。そこで、夜、近所の桜の木があるあたりに散歩にいってみようと思っていたら、一日中、あいにくの大雨である。

桜は散ってしまっただろうか。

もう長いこと、4月1日だからといって何かが変わるような生活をしていない。朝起きて、グラスに注いだ水を飲んで顔をあらって出勤の準備をして、部屋を後にする。時差出勤のため駅にはひとが少ない。

これといったこともなく、いつものように仕事をして帰宅し、ワインを飲みながら夕飯を作った。

新型ウイルスに感染したことが原因で亡くなってしまった国民的コメディアンの追悼番組を見ながら家人と食事をすませる。食器などを片付けながら、ふと、今、日々が何も変わらないようでいて、実はまったく違うのだということが身にしみ、ひじょうに暗い気持ちになる。

ねこだけはいつもと何も変わらない。まんまるな目をして皿を洗うわたしの足元をくるくると歩き回っては、たまにニャーと鳴く。

明日の天気予報は晴れのようだ。ねこが寝床にしている毛布をそろそろしまってもいいかもしれない。